骨董品の査定・買取市場において、実際の消費者はどのような意識を持っているのでしょうか。
今回、40代以上の男女100人を対象に、骨董品の査定依頼に関する包括的な意識調査を実施しました。
その結果から見えてきた、骨董業者選びの実態と消費者ニーズについて詳しく解説します。
調査概要

- 企画名
40代以上の男女限定!!骨董品査定や業者選びに関する意識調査 - 対象者
40代以上の男女 - 実施数
100人 - 趣 旨
ユーザーニーズに沿った骨董業者の選定とメディアでの取り上げ、また一次情報の開示による各業者へのデータ活用支援
設問内容
今回の設問内容は以下になります。
約半数が骨董品査定を検討|人生の節目が大きなきっかけ

調査の結果、48%の人が骨董品の査定依頼を検討した経験があることが判明しました。
内訳は「実際に依頼したことがある」が16%、「依頼を検討したが実際には依頼しなかった」が32%となっており、骨董品査定への潜在的な関心の高さがうかがえます。
実際に査定を依頼した方々の理由を詳しく分析すると、遺品整理が最大のきっかけとなっていることが明らかになりました。
特に祖父母世代の遺品整理において、骨董品と思われる品物が発見されるケースが多く見られます。

女性
90代の祖父母が他界し、実家の物置になっている屋根裏や部屋から骨董品と見られる物品が出てきたことが理由です。
両親も高齢なので、私がそういった業者へ依頼できないか検討しています。

女性
祖父母が亡くなり、祖父母の家を人に貸す事になり、遺品整理をしていて、なんとなく値打ちのありそうな掛け軸と花瓶と、あと金色の小判みたいなものが出て来たから。
捨てればゼロ円ですが、もし値がついたらラッキーと思い、依頼しました。
これらのコメントから、骨董品査定の需要は相続や遺品整理というライフイベントと密接に関連していることがわかります。
また、「捨てればゼロ円だが、価値があるかもしれない」という発想は、多くの消費者に共通する心理と考えられます。
一方で、検討したことがない52%の方からは、骨董品の価値判断への根深い不安が浮き彫りになりました。

女性
骨董品が何か分からない。
骨董品の基準が例などで画像付きで分かれば検討することもあるかもしれません。

女性
自分が持っているようなものが骨董品と言えるのか、値段がつくのかわからないので。
この結果から、依頼経験者は人生の節目(相続・遺品整理)での切実な必要性から行動している一方、未経験者は価値判断への不安から躊躇しているという二極化した構造が見えてきます。
これは骨董業界にとって重要な示唆を含んでいます。
業者選びの決め手は「透明性」と「信頼性」- 高額査定より重視される要素

骨董業者を選定する際の基準について複数回答で尋ねたところ、従来の予想を覆す結果が得られました。
上位5項目は以下の通りです。
- 査定額の透明性・明確さ(21.74%)
- 査定額が高額になりそうか(17.06%)
- 対応の丁寧さ・安心感(17.06%)
- 実績・経験の豊富さ(15.72%)
- 口コミ・評判の良さ(11.04%)
最も注目すべきは、単純な「高額査定への期待」よりも「透明性・明確さ」が最重視されている点です。
これは骨董品という専門性の高い分野において、消費者が適正価格への強い不安を抱いていることを如実に示しています。
選択理由について詳しく聞いたところ、信頼性への懸念が明確に表れました。

男性
相手は専門家であり、騙されてしまうことを想像してしまうので、何よりも信頼できそうかが気になった。

男性
やはり一番は、査定額が高くなりそうな業者さんに依頼させていただきたいと思います。
これまでの、買取実績などを参考にさせていただき、口コミに悪いことが書かれてないかを確認させていただきます。

女性
価値が不明なものなので、信頼できる説明と丁寧な対応を重視したい。
また、過去の実績が多い業者であれば安心できる。
これらのコメントから、消費者は価格面だけでなく、信頼性を多角的に判断しており、特に「だまされるのではないか」という不安が根強いことがわかります。
実績・経験の豊富さや口コミ・評判の良さも重視されており、消費者は複数の要素を総合的に評価して業者選択を行っています。
興味深いことに、出張査定の有無(5.69%)や査定スピード(2.01%)といった利便性に関する項目は相対的に低く、骨董品査定においては利便性よりも信頼性が圧倒的に重視される市場特性が明らかになりました。
求められるサービスは「説明力」「専門性」「高額査定」

今後の査定依頼で骨董業者に求めることとして、以下の項目が上位を占めました。
- 分かりやすく納得できる説明(24.72%)
- 高額査定(20.60%)
- 査定士の専門知識(18.73%)
- 出張費・キャンセル料無料(8.99%)
- 幅広い品目の対応(7.87%)
ここでも業者選択基準と同様に、「説明力」がトップとなり、消費者は金額の妥当性を理解したいという強いニーズを持っていることが明らかになりました。
これは前項の「透明性・明確さ」重視と一貫した傾向です。
第2位の「高額査定」と第3位の「査定士の専門知識」を合わせると約39%となり、専門性に基づいた適正で高い評価を求める消費者心理が浮き彫りになっています。
地域性や個別のニーズに関しても、具体的な要望が寄せられました。

女性
実家の骨董品が品目多く、かなり田舎にある。可能であればオンライン査定してもらいたい。

男性
家に取りに来てくれると助かります。
また、値段がつかない骨董品も、無料で引き取ったりしてくれたら大変うれしく思います。
これらのコメントから、地方在住者にとってのアクセシビリティの課題や、価値のない品物の処分に関するニーズも存在することがわかります。
専門性への期待と理想的な査定士像

消費者が求める理想的な査定士像について、非常に興味深いコメントが寄せられました。

女性
お店を構えていて、評判が悪くないという前提で。
いかにもサービス業ですという、一見物腰の柔らかそうな身なりの人より、専門知識を持っている人に査定して頂きたいです。

女性
やり取りの手軽さよりも、適正金額での取引や真摯な対応などが基準に事業者を選びたい。
これらのコメントから、消費者は表面的なサービスマナーよりも、実質的な専門性と誠実さを求めていることがわかります。
また、「いかにもサービス業」という表現は、過度にビジネス的な対応よりも、職人的な専門性を重視する消費者心理を表していると考えられます。
骨董業界への戦略的示唆
今回の調査結果から、古美術ラウンジとしては骨董品査定・買取業界に対する以下の示唆が得られる興味深い結果になったと考えています。

1. 教育・啓蒙活動の戦略的重要性
約半数の消費者が骨董品の価値判断に不安を抱いている現状は、業界全体にとって大きな機会でもあります。
「どのようなものが骨董品になり得るか」「査定のポイント」「適正価格の目安」などの情報発信を強化することで、潜在顧客の掘り起こしが可能です。
特に画像付きの具体例提示が効果的と考えられます。

2. 透明性確保による差別化戦略
高額査定よりも「透明性・明確さ」が重視される結果は、業界にとって重要な競争軸を示しています。
査定プロセスの可視化、根拠の明確な説明、適正価格の提示基準の明示などが、競争優位性につながる可能性があります。

3. 専門性の訴求とブランディング
消費者は表面的なサービスよりも実質的な専門性を求めています。
査定士の資格・経験・専門分野の明示、過去の鑑定実績の公開、専門書籍の執筆歴など、専門性を具体的に示すブランディング戦略が信頼獲得の鍵となります。

4. ライフステージマーケティングの活用
遺品整理・相続といった人生の節目での需要が高いことから、これらのタイミングに合わせたマーケティング展開が有効です。
葬儀社、遺品整理業者、不動産業者との連携や、相続関連のセミナー開催などが考えられます。

5. 地域密着とオンライン化の両立
地方のニーズに応えるオンライン査定の充実と、地域に根ざした信頼関係の構築という、一見相反する要素の両立が求められています。
まとめ
40代以上の消費者の骨董品査定に対する意識調査から、信頼性と透明性が最重視される特殊な市場であることが明らかになりました。
単純な利便性競争や価格競争ではなく、専門性に基づいた誠実で透明性の高い対応が消費者に選ばれる決定要因となっています。
特に注目すべきは、「高額査定」よりも「透明性・明確さ」「分かりやすい説明」が重視される点で、これは他の買取業界とは異なる骨董品市場独特の特徴といえます。
消費者は「適正価格で取引したい」という強い願望を持っており、そのためには専門性と誠実さが不可欠と考えています。
骨董業界にとっては、これらの消費者ニーズに応える体制整備が、市場拡大と顧客満足度向上の両立につながる重要な要素です。
特に、価値がわからず躊躇している52%の潜在顧客層に対する適切な情報提供と安心感の醸成が、業界全体の健全な発展にとって不可欠といえるでしょう。
遺品整理というライフイベントをきっかけとした需要の掘り起こし、透明性の高い査定プロセスの確立、そして真の専門性に基づいたサービス提供が、今後の骨董品査定・買取業界の成長を左右する鍵となることが、今回の調査から明確に示されています。
女性
祖父母の遺品整理をしたときに掛け軸が見つかり、実際にどのくらいの値段なのか興味があり、鑑定を依頼したことがあります。