【愛のあるアート】世界的な評価を受けている草間彌生の芸術作品を解説

草間彌生―その名前を聞けば、誰もが鮮やかな水玉模様と黄色いかぼちゃを思い浮かべるでしょう。現在、世界で最も成功している存命の女性芸術家として、草間彌生の作品は国際的なオークションで数億円から十数億円で取引され、世界中の美術館がその作品を収蔵しています。

本記事では、草間彌生がなぜこれほどまでに世界的評価を獲得したのかその軌跡と代表作品作品の価値そして現在の入手方法まで、骨董・美術業界の専門的視点から詳しく解説していきます。

目次

1. 草間彌生とは―現代アートの女王が生み出す水玉の世界

引用:松本市美術館

1-1. 草間彌生の基本プロフィール

草間彌生は1929年3月22日、長野県松本市に生まれました(※1)。種苗業を営む旧家に育ち、幼少期から植物に囲まれた環境で過ごしました。京都市立美術工芸学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学んだ後、1957年、28歳の時に単身渡米を果たします。

ニューヨークでは「無限の網」シリーズ「アキュムレーション」など反復と増殖をテーマにした革新的な作品を発表し、1960年代には「前衛の女王」として注目を集めました。体調面の理由から1973年に帰国後も創作活動を続け、現在に至るまで第一線で活躍しています(※2)。

2016年には文化勲章を受章し、2017年には東京・新宿に草間彌生美術館が開館しました(※3)。95歳を超えた現在も精力的に制作を続ける草間彌生は、まさに現代アート界の生きる伝説と言えるでしょう。

1-2. 水玉とネットに込められた意味

草間彌生の作品を特徴づける「水玉」「網目」は、単なるデザインモチーフではありません。これらは草間が幼少期から体験してきた幻覚や幻聴と深く結びついています。

草間自身は水玉について「私の人生は1つの水玉:無数の粒子のうちの1つ。並んだ水玉の天文学的な数の集合体からできた『無』の白い網が、私と他者を、そして世界全体を消し去っていく」と語っています(※4)。水玉は宇宙の形であり、無限への概念を象徴しているのです。

一方、網目模様について草間は「網は私を覆って首を絞めている。網は私を魅了し悩ましている」と表現しています(※5)。これらのモチーフは、草間の内面世界と外界との境界を曖昧にし、自己消滅と再生のテーマを体現しています。

1-3. 幻覚体験とアート表現の関係

草間彌生の芸術の根源には、幼少期から悩まされてきた幻覚と幻聴があります。花が話しかけてくる、視界が水玉で覆われる―こうした体験は、草間にとって恐怖の対象でありながら、同時に創作の原動力でもありました。

草間は幻覚や幻聴から逃れるために、それらを絵として外に出すことを始めたのです。この「自己消滅」の思想は、草間芸術の一貫したテーマとなり、水玉や網目の反復、鏡を使った無限空間の創出という独特の表現手法へとつながっていきました。

2. 草間彌生が世界的に有名になった理由と軌跡

引用:草間彌生美術館

2-1. 渡米とニューヨークでの前衛芸術家としての成功(1950年代後半〜1970年代)

1957年の渡米は、草間彌生のキャリアにおける最大の転換点でした。当時のニューヨークは、抽象表現主義やポップアートが花開く現代美術の中心地。草間はこの地で「無限の網」シリーズを発表し、画面全体を網目で覆い尽くす独創的なスタイルで注目を集めます。

飛行機の窓から見た太平洋の波からインスピレーションを得たという「無限の網」は、単色のキャンバスに細かい網目を反復的に描いていく作品で、ミニマリズムやオールオーバーペインティングの先駆けとして評価されました(※6)。

また、日用品の表面を柔らかい布製の突起物で覆う「アキュムレーション」シリーズや、鏡と光を使った「無限の鏡の間」など革新的なインスタレーション作品を次々と発表。さらにボディ・ペインティングやハプニングといったパフォーマンスアートにも積極的に取り組み、「前衛の女王」として名を馳せました。

草間の表現は、アンディ・ウォーホルやクレス・オルデンバーグなど、当時の若手アーティストにも影響を与えたとされています。

2-2. 帰国後の再評価と1993年ヴェネツィア・ビエンナーレでの転機

しかし、1973年に健康上の理由で日本に帰国した後、草間は一時的に「過去の存在」となりかけました。1970年代から1980年代の草間は、決して有名とは言えない状況にあったのです。

転機が訪れたのは1990年代でした。1989年にニューヨークの国際現代美術センターで回顧展が開催されると、時代が一周して新鮮に映った草間の作品が再び脚光を浴び始めます(※7)。

そして1993年、草間彌生は第45回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館代表として、日本館初の個展を開きました(※8)。ここで発表された「ミラールーム(かぼちゃ)」をはじめとするインスタレーション作品は、世界的な名声を確固たるものにする契機となったのです。

2-3. 2000年代以降の世界的評価の確立

1993年のヴェネツィア・ビエンナーレ参加を機に、草間彌生の本格的な再評価が始まりました。特に重要だったのは、1998年から1999年にかけて開催された大規模回顧展「ラブ・フォーエバー:草間彌生 1958-1968」です。この展覧会はニューヨーク近代美術館(MoMA)、ロサンゼルス現代美術館、東京都現代美術館などを巡回し、1960年代の草間彌生の輝きを世界中に知らしめました(※9)。

2000年代に入ると、草間の評価は加速度的に高まります。2001年には横浜トリエンナーレへ参加、2002年には故郷・松本市の松本市美術館開館記念展に選ばれました。2009年には「わが永遠の魂」シリーズの制作を開始し、2011年にはテート・モダン(ロンドン)やポンピドゥー・センター(パリ)など、世界の主要美術館で回顧展が巡回開催されました(※10)。

2017年には国立新美術館で開催された「草間彌生 わが永遠の魂」展が大きな話題となり、日本国内でも幅広い層から支持を集めるようになったのです。

2-4. ルイ・ヴィトンとのコラボレーションがもたらした影響

草間彌生の名前を一般層にまで広めた決定的な出来事が、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションでした。

2012年、草間とルイ・ヴィトンの初めてのコラボレーションが実現します。草間の水玉模様がルイ・ヴィトンのバッグやウィンドウディスプレイを彩り、世界中で大きな話題となりました(※11)。

そして2023年、10年ぶりとなる第2弾のコラボレーションが発表されます。第1弾は2023年1月1日、第2弾は同年3月31日に発売され、バッグ、プレタポルテ、シューズ、アクセサリー、フレグランスなど、多彩なカテゴリーで展開されました(※12)。

このコラボレーションを祝して、東京の街には草間彌生をモチーフにした大規模なインスタレーションが登場しました。渋谷スクランブル交差点のマルチビジョンジャック、新宿の巨大3D広告、東京タワーや東京駅前でのインスタレーション展示など、都市全体が草間ワールドに染まったのです(※13)。パリのシャンゼリゼ通りにはビルよりも高い草間彌生人形が出現するなど、グローバル規模のキャンペーンが展開されました。

このルイ・ヴィトンとのコラボレーションは、草間彌生の認知度を飛躍的に高め、アート愛好家のみならず、ファッションやポップカルチャーに関心を持つ幅広い層へとその存在を知らしめることとなりました。

3. 草間彌生の代表的な芸術作品

引用:草間彌生美術館

3-1. 無限の網シリーズ―草間芸術の原点

「無限の網(Infinity Nets)」シリーズは、草間彌生の芸術家としてのキャリアを確立した記念碑的な作品群です。1959年頃から制作が始まったこのシリーズは、単色のキャンバス全体を細かい網目模様で埋め尽くすもので、中心や焦点を持たないオールオーバーペインティングの手法が特徴です。

草間は飛行機の窓から見た太平洋の波の広がりからインスピレーションを得たと語っています。白や銀、赤など様々な色彩で展開されるこのシリーズは、無限に広がる宇宙や、自己消滅の感覚を表現しています。

現在でも草間は「無限の網」シリーズを制作し続けており、オークション市場でも高く評価されています。2022年には1959年の作品《Untitled (Nets)》が約13億5000万円で落札され、当時の草間彌生のオークションレコードとなりました(※14)。

3-2. かぼちゃ―草間彌生を象徴するモチーフ

黄色と黒の水玉で覆われた「かぼちゃ」は、草間彌生の代名詞とも言える作品です。草間がかぼちゃを描くようになったのは、幼少期に祖父の畑で見たかぼちゃの姿に魅了されたことがきっかけでした。

自伝『無限の網』で草間は「私がカボチャに造形的興味を受けたのは、その太っ腹の飾らぬ容貌なのだ。そして、たくましい精神的力強さだった」と記しています(※15)。また別の著書『水玉の履歴書』では「南瓜は私の人生の伴侶です」とも述べており、かぼちゃが草間にとって特別な存在であることがわかります。

草間のかぼちゃ作品は、絵画だけでなく彫刻でも展開されています。特に香川県・直島に設置された「黄かぼちゃ」は、草間作品を代表するアイコンとして世界中に知られています(※16)。また赤い「南瓜」も宮浦港に展示されており、多くの観光客を魅了しています。

オークション市場でも、かぼちゃ作品は高い評価を受けています。2023年には彫刻《Pumpkin (L)》が約10億5000万円で落札され、日本人作家による彫刻の落札価格の新記録となりました(※17)。絵画作品でも、2013年の《Pumpkin》が約9億900万円、2011年の《A-Pumpkin (BAGN8)》が約9億2000万円で落札されるなど、高額取引が続いています。

3-3. 無限の鏡の間―体験型インスタレーションの傑作

「無限の鏡の間(Infinity Mirrored Room)」は、草間彌生の体験型インスタレーション作品の代表格す。四方八方を鏡で覆った空間に、光やオブジェを配置することで、無限に広がるような幻想的な空間を創り出します。

1965年に最初の作品が制作されて以来、草間は様々なバリエーションの「無限の鏡の間」を発表してきました。1993年のヴェネツィア・ビエンナーレで発表された「ミラールーム(かぼちゃ)」は、数千個の小さなかぼちゃの彫刻を配置し、それらが鏡に映って無限に増殖する空間を作り出しました(※18)。

「無限の鏡の間」シリーズの中でも特に人気が高いのが、《無限の鏡の間-愛はとこしえ》です。色とりどりのランプが点滅する様子が鏡に映り込み、まるで宇宙空間に漂っているかのような感覚を味わえます。この作品は世界中の美術館で展示され、入場待ちの長蛇の列ができるほどの人気を博しています。

3-4. 水玉オブセッション―繰り返される生命の形

「水玉」は草間彌生の全作品を貫く最も重要なモチーフです。幼少期の幻覚体験に由来するこの水玉は、草間にとって宇宙の形であり、生命の象徴でもあります。

草間は絵画作品だけでなく、彫刻、インスタレーション、さらには自身の衣装に至るまで、あらゆる場所に水玉を展開してきました。「Dots Obsession(水玉強迫)」シリーズでは、巨大な風船状のオブジェを水玉で覆い、空間全体を水玉で満たすことで、観る者を草間の内面世界へと誘います。

近年の作品では、花をモチーフにした作品も人気を集めています。2023年にクリスティーズ香港で落札された《A Flower》は、約15億1700万円という草間作品史上最高額を記録し、かぼちゃや網目以外のモチーフでも高い評価を得ていることを証明しました(※19)。

4. 草間彌生作品の価値と市場動向

引用:草間彌生美術館

4-1. オークション落札価格の推移と最高記録

草間彌生作品の市場価値は、2014年以降急激に上昇しました。それまでゆっくりと右肩上がりを続けていた価格が、2014年を境に大きく跳ね上がったのです(※20)。

2023年の現代アート作家のオークション売上において、草間彌生は8090万ドル(約122億8000万円)で堂々の首位を獲得しました。これは2位のデヴィッド・ホックニー(5030万ドル)、3位の奈良美智(3600万ドル)を大きく引き離す数字です(※21)。

草間作品のオークション落札価格トップは以下の通りです。

  1. 《A Flower》2014年:約15億1700万円(2023年)
  2. 《Untitled (Nets)》1959年:約13億5000万円(2022年)
  3. 《Pumpkin (L)》2014年:約10億5000万円(2023年・彫刻)
  4. 《Flowers》2015年:約10億3000万円(2023年)
  5. 《Pumpkin (M)》2014年:約10億2000万円(2022年・彫刻)(※22)

特筆すべきは、2020年代に入ってから億円を超える落札が続いていることです。これは草間彌生の国際的評価が確固たるものとなり、投資対象としての価値も認められていることを示しています。

4-2. 作品形態別の価格帯(絵画・彫刻・版画)

草間彌生作品の価格は、その形態によって大きく異なります。

絵画作品(油彩・アクリル画) オリジナルの絵画作品は最も高額で、状態が良好な油彩画やアクリル画の場合、1,000万円を下回ることはほとんどありません。サイズや制作年代、モチーフによって価格は変動し、中型作品で3,000万円から2億5000万円程度大型作品や重要作品では数億円から十数億円の価格帯となります(※23)。

彫刻作品 かぼちゃをモチーフにした彫刻作品は、絵画作品と比較しても高額で取引されることが多く特に大型の屋外彫刻は数億円規模の価格がつきます。2023年の《Pumpkin (L)》の約10億5000万円という落札価格は、日本人作家による彫刻の最高記録となりました。

版画作品 版画作品は比較的手の届きやすい価格帯で、シルクスクリーンやリトグラフなどの技法で制作されています。草間は1979年から版画制作を開始し、現在まで多数の作品を発表してきました(※24)。版画作品の価格は、エディション数や制作年、モチーフによって異なりますが、数十万円から数百万円の価格帯が中心となっています。

4-3. 存命女性アーティストとしての市場評価

草間彌生は、存命の女性アーティストとして世界で最も成功した作家です。2021年のアートオークションでは総計1億7800万ドルを売り上げ、年間売上高で世界のアーティストトップ10入りを果たしました。これは女性アーティストとして史上初の快挙です(※25)。

草間の躍進は、女性アーティストの地位向上とも密接に関連しています。オークションで取り扱われる女性の現代アーティストの数は、2019年の261人から2023年には728人へと約3倍に増加しました。また、2023年の現代アートの売上に占める女性作家の割合は32%に達しています(※26)。

草間彌生の成功は、女性アーティストの市場価値を押し上げる大きな原動力となっており、アート市場における性別の壁を打ち破る象徴的存在となっています。

4-4. 投資対象としての草間彌生作品

草間彌生作品は、その価格の安定的な上昇から、投資対象としても注目を集めています。過去20年間で草間作品の価格相場指数は10倍以上に伸びており、特に2014年以降の価格上昇は顕著です(※27)。

また、草間作品の売上の地域別分布を見ると、20年前は英語圏(アメリカ・イギリス)が78%を占めていましたが、2021年にはアジア諸国が74%を占めるようになりました。これは草間がグローバルアーティストとして成長し、世界中から支持を集めていることを示しています(※28)。

ただし、投資目的で美術品を購入する際は、真贋鑑定や保存状態、来歴の確認が極めて重要です。草間作品のような高額作品では贋作も多く出回っているため、信頼できる画廊やオークションハウスからの購入が推奨されます。

美術品投資をお考えの方は、美術品購入時の注意点信頼できる業者の選び方についても、ぜひ参考にしてください。また、2025年の美術市場動向も投資判断の材料となるでしょう。

5. 草間彌生作品の現在の入手方法

引用:翠波画廊

5-1. オークションハウスでの購入

草間彌生の重要作品を入手する最も一般的な方法は、国際的なオークションハウスでの購入です。サザビーズ、クリスティーズ、フィリップスといった大手オークションハウスでは、定期的に草間作品が出品されています。

特に香港とニューヨークのオークションでは、高額な草間作品が数多く取引されています。オークションに参加するには事前登録が必要で、高額作品の場合は入札資格の審査が行われることもあります。

オークションでの購入のメリットは、市場価格が透明であること、そして来歴が明確な作品が多いことです。ただし、落札価格に加えて手数料(通常20〜25%程度)がかかることを考慮する必要があります。

5-2. 画廊・ギャラリーからの購入

国内外の画廊やギャラリーでも草間彌生作品を取り扱っています。東京の銀座エリアには、現代美術を専門とする画廊が集中しており、草間作品を扱う老舗画廊も複数存在します。

画廊からの購入のメリットは、専門家のアドバイスを受けられること、そして分割払いなどの柔軟な支払い方法が選択できることです。また、信頼できる画廊では真贋保証や返品保証がついていることも多く、初めて美術品を購入する方にとっては安心感があります。

購入を検討する際は、複数の画廊で見積もりを取ることをお勧めします。同じ作品でも画廊によって価格が異なることがありますし、サービス内容や専門性も異なります。信頼できる業者選びのポイントを押さえて、慎重に判断することが重要です。

5-3. 版画作品の入手方法

オリジナルの絵画作品は数千万円から数億円という高額ですが、版画作品であれば比較的手の届きやすい価格で草間彌生の作品を所有することができます。

版画作品は、草間彌生公式の取り扱い画廊や、現代美術を専門とするギャラリーで購入可能です。また、一部の作品はオンラインでも販売されています。価格帯は数十万円から数百万円程度で、エディション番号が若い作品ほど高価になる傾向があります。

版画作品を購入する際は、エディション番号作家のサインの有無保存状態必ず確認しましょう。また、株式会社草間彌生による確認書があると、将来の売却時にも有利です。

5-4. 購入時の注意点と真贋鑑定

草間彌生作品のような高額作品を購入する際、最も重要なのは真贋の確認です。残念ながら、草間作品の贋作は国内外で多数出回っているのが現状です。

真贋鑑定について 草間彌生のオリジナル作品(1点もの)の鑑定は、株式会社草間彌生が行っています。同社が作品登録を行い、登録カードを発行します。これが草間作品の「鑑定証書」に相当するものです(※29)。

購入を検討する作品に登録カードがない場合は、株式会社草間彌生に鑑定を依頼することができます。ただし、2023年現在、鑑定対象は1点もののオリジナル作品のみとなっています。

購入時のチェックポイント

  1. 鑑定証書または登録カードの有無
  2. 作家のサインの真正性
  3. 作品の保存状態(シミ、カビ、破損の有無)
  4. 来歴(過去の所蔵者、展示歴など)
  5. 購入元の信頼性

信頼できる画廊では、株式会社草間彌生に確認済みの作品のみを扱っています。購入前には必ず確認書類を求め、不明な点があれば専門家に相談することをお勧めします。

また、美術品購入時の注意点では、契約書の確認事項や支払い方法、保険についても詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

6. 草間彌生作品が鑑賞できる国内外の施設

引用:草間彌生美術館

6-1. 草間彌生美術館(東京)―草間ワールドの集大成

草間彌生の作品を最も包括的に鑑賞できるのが、2017年10月に東京・新宿に開館した草間彌生美術館です。草間本人が設立したこの美術館は、世界で唯一、草間彌生の作品を専門に扱う美術館として、国内外から多くの来館者を集めています(※30)。

館内では、草間の長いキャリアを通じて制作された絵画、彫刻、インスタレーション作品などを、年に約2回の展覧会形式で公開しています。2025年には「宇宙からの音響」展が開催され、幼少からの幻覚・幻聴と創作活動の結びつきに焦点を当てた展示が行われています。

草間彌生美術館は完全予約制で、公式ウェブサイトからのチケット購入が必要です。人気が高いため、特に週末のチケットは早めに完売することがあります。訪問を計画される方は、余裕を持って予約することをお勧めします。

施設情報

  • 住所:東京都新宿区弁天町107
  • 入館料:一般1,100円、小中高生600円、未就学児無料
  • 開館時間:11:00〜17:30
  • 休館日:月〜水曜(祝日は除く)
  • 公式サイト:https://yayoikusamamuseum.jp/

6-2. その他国内主要施設

松本市美術館(長野県) 草間彌生の故郷・長野県松本市にある美術館です。正面入口には草間の野外彫刻作品《幻の華》が設置されており、高さ10メートル、幅18メートルという草間の野外彫刻作品の中で最大規模を誇ります。館内では通年展示「草間彌生 魂のおきどころ」が開催されており、活動初期の1950年代から最新シリーズまでの作品群を鑑賞できます(※31)。

直島(香川県) 香川県の直島には、草間彌生の代表作である「黄かぼちゃ」と「赤かぼちゃ」が設置されています。瀬戸内海を背景に佇む巨大なかぼちゃ彫刻は、直島のシンボル的存在となっており、世界中から観光客が訪れます。黄かぼちゃは2021年の台風で一度破損しましたが、2022年に復元され、再び同じ場所で展示されています(※32)。

十和田市現代美術館(青森県) アート広場には大規模屋外インスタレーション《愛はとこしえ十和田でうたう》が設置されています。少女の「十和田のハナコちゃん」を中心に、犬やきのこ、かぼちゃなど、色鮮やかな水玉がデザインされた8つの彫刻群で構成されており、中に入ることができる作品もあります。

霧島アートの森(鹿児島県) 野外美術館として知られる霧島アートの森には、《シャングリラの華》と《赤い靴》が展示されています。不老不死の桃源郷に咲く花をモチーフとした《シャングリラの華》は、生命・魂・希望を表現した大型作品で、自然と調和した圧巻の存在感を放っています。

6-3. 海外主要美術館

テート・モダン(イギリス、ロンドン) ロンドンのテムズ川沿いに位置する現代美術館草間彌生の作品を常設展示しており、過去には「Infinity Mirrored Room」の長期展示も行われました。かつての発電所を改装した独特の建築と、草間の幻想的な作品が見事に調和しています。

ニューヨーク近代美術館(MoMA、アメリカ) 草間彌生のキャリアにおいて重要な役割を果たした美術館です。1998年の大規模回顧展はここから始まり、草間の国際的再評価のきっかけとなりました。現在も《Accumulation No.1》など、重要な草間作品を所蔵しています。

クリーブランド美術館(アメリカ、オハイオ州) 常設展は無料で公開されており、草間のインスタレーション作品《Baby Stroller》などを鑑賞できます。2018年には特別展「Infinity Mirrors」が開催され、連日チケット完売となる人気を博しました。

これらの施設では、展示内容が入れ替わることがあるため、訪問前に公式ウェブサイトで最新情報を確認することをお勧めします。

7. まとめ―草間彌生作品の魅力と今後の展望

7-1. 草間彌生芸術の普遍的価値

草間彌生の芸術が世界中で愛される理由は、その作品が持つ普遍的なテーマにあります。幼少期の幻覚体験という極めて個人的な経験を、水玉や網目といった視覚的に理解しやすいモチーフに昇華させ、無限・自己消滅・生命といった誰もが共感できるテーマへと展開させたのです。

また、草間の作品は「見る」だけでなく「体験する」アートとして、観る者を作品の一部にします。「無限の鏡の間」に入った時、私たちは草間の内面世界を追体験し、自己と宇宙の境界が曖昧になる感覚を味わうことができるのです。

草間彌生は現在も精力的に創作活動を続けており、「わが永遠の魂」シリーズでは毎日のように新作を生み出しています。95歳を超えてなお衰えることのない創作意欲は、多くの人々に勇気と感動を与え続けています。

7-2. コレクションとしての可能性

草間彌生作品は、芸術的価値と市場価値の両面で極めて高い評価を受けています。オリジナル作品は数千万円から十数億円という高額ですが、版画作品であれば数十万円から数百万円で入手可能です。

草間作品をコレクションする際は、真贋鑑定を含めた慎重な購入プロセスが不可欠です。信頼できる画廊やオークションハウスを選び、鑑定証書や来歴を確認することで、安心して作品を所有することができます。

また、草間作品は単なる投資対象ではなく、日々の生活に彩りを与えるアートとして楽しむことができます。色鮮やかな草間作品を部屋に飾ることで、空間が華やぎ、ポジティブなエネルギーを感じることができるでしょう。

ご自宅に草間彌生の作品をお持ちで、売却を検討されている方は、信頼できる骨董品・美術品買取業者への相談をお勧めします。草間作品の価値を正しく評価できる専門家に査定を依頼することで、適正な価格での売却が可能となります。

草間彌生の芸術は、今後も世界中の人々を魅了し続けるでしょう。その普遍的なメッセージ革新的な表現は、時代を超えて語り継がれる価値を持っているのです。


参照元

※1 Wikipedia「草間彌生」https://ja.wikipedia.org/wiki/草間彌生 ※2 名古屋テレビ「草間彌生 版画の世界」https://www.nagoyatv.com/program_event/yayoikusamaprintworks.html ※3 nippon.com「Love Forever: 草間彌生の素顔」https://www.nippon.com/ja/features/c03703/ ※4 ルイ・ヴィトン公式「ルイ・ヴィトン × 草間彌生 2023」https://louisvuitton-navi.jp/collection/lv37-yayoi-kusama-2023.html ※5 翠波画廊「草間彌生のオークション落札価格ランキング」https://www.suiha.co.jp/column/kusamayayoinoauctionrakusarukakakutop10/ ※6 同上 ※7 翠波画廊「草間彌生はいつから価格が上がったのか」https://note.com/gallery_suiha/n/nada0ebff37eb ※8 ヴェネチア・ビエンナーレ日本館公式サイト https://venezia-biennale-japan.jpf.go.jp/j/participants/yayoi-kusama ※9 翠波画廊「草間彌生はいつから価格が上がったのか」https://note.com/gallery_suiha/n/nada0ebff37eb ※10 Wikipedia「草間彌生」https://ja.wikipedia.org/wiki/草間彌生 ※11 家庭画報「再始動した『ルイ・ヴィトン×草間彌生』のコラボレーションに注目」https://www.kateigaho.com/article/detail/157939 ※12 PRTIMES「【ルイ·ヴィトン】3月31日より第2弾を発売」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000695.000060591.html ※13 Oggi「【ルイ・ヴィトン × 草間彌生】コラボを祝うインスタレーション」https://oggi.jp/6894322 ※14 翠波画廊「草間彌生のオークション落札価格ランキング」https://www.suiha.co.jp/column/kusamayayoinoauctionrakusarukakakutop10/ ※15 同上 ※16 ELLE DECOR「草間彌生のアートが堪能できる、国内スポット10」https://www.elle.com/jp/decor/art/g43936620/yayoi-kusama-japan-spot-230600/ ※17 翠波画廊「草間彌生のオークション落札価格ランキング」https://www.suiha.co.jp/column/kusamayayoinoauctionrakusarukakakutop10/ ※18 同上 ※19 同上 ※20 同上 ※21 同上 ※22 同上 ※23 アート買取協会「草間彌生作品の値段と魅力を徹底解説」https://www.artkaitori.com/column/kusamayayoi-miryoku-souba/ ※24 名古屋テレビ「草間彌生 版画の世界」https://www.nagoyatv.com/program_event/yayoikusamaprintworks.html ※25 翠波画廊「草間彌生」https://www.suiha.co.jp/artists/contemporary-artists/yayoi_kusama/ ※26 翠波画廊「草間彌生のオークション落札価格ランキング」https://www.suiha.co.jp/column/kusamayayoinoauctionrakusarukakakutop10/ ※27 翠波画廊「草間彌生」https://www.suiha.co.jp/artists/contemporary-artists/yayoi_kusama/ ※28 同上 ※29 花田美術「草間彌生の作品の値段を解説」https://www.hanada-gallery.co.jp/column/yayoi-kusama-price/ ※30 ELLE DECOR「草間彌生のアートが堪能できる、国内スポット10」https://www.elle.com/jp/decor/art/g43936620/yayoi-kusama-japan-spot-230600/ ※31 同上 ※32 翠波画廊「草間彌生」https://www.suiha.co.jp/artists/contemporary-artists/yayoi_kusama/